歳をとっていくタレント 

時を旅する先輩

2013年9月28日 / by non02

溢れそうな涙を、必死にこらえていました。

朝に会えば「おはよう!」帰りに会えば「またね!」「バイバイ!」そんな風に、必ず挨拶をしてくれました。私が先に気がついて「おはようございます」「さようなら」と言えば、にっこり笑顔で挨拶を返してくれました。

廊下で会えば「元気?」と声をかけてくれたり、二人の間に距離があれば手を振ってくれたりしました。いつも元気いっぱいで、大好きな先輩でした。

私たちは家の方向が同じなので、下校中に会えば途中まで一緒に帰ることもありました。歩きながら、恋愛の悩みを相談したこともありました。先輩は親身になって聞いてくれました。

先輩に悩みを打ち明けたことで心は軽くなり、先輩がくれたアドバイスはとても心強いものでした。いつも優しくて、大好きな二つ上の先輩でした。

ずっとこの学校に先輩がいてほしいと、心から思っていました。でも、その願いが叶うことはありませんでした。着々と近づく、卒業の日。先輩たち卒業生は、真っ直ぐ前を見て歌っていました。その後ろで、私は涙をこらえるのに必死だったのです。

懐かしいあの日を思い出すと、さらに涙がこぼれそうになります。暑い夏の日、汗を拭いながら二人で歩いた道を思い出します。視界の隅でとらえた、揺れる小さな花が思い出に花を添えます。

あのときの話題は、お互いの恋愛のこと。先輩にはステキな彼氏がいました。先輩の彼氏に憧れる女子も何人かいて、お似合いの二人でした。

小雨が降る中、傘を忘れた私に先輩が貸してくれたこともありました。私が傘を借りてしまうと先輩が困るんじゃないかと心配すると、彼氏の傘に入れてもらうから大丈夫だと微笑んでくれました。

そんな先輩が、この学校からいなくなってしまう。そのことは淋しくてたまりませんでした。「私でよかったら、卒業しても何でも相談して」そう言ってくれた先輩の言葉を、本当に心強く思いました。「卒業したって友達に変わりないよ」”先輩”や”後輩”ではなく、”友達”と言ってくれたことが、本当に嬉しかったのを覚えています。

今にもこぼれそうな涙をこらえながら、初めて知ったことがあります。先輩って、時を旅する人だったんだね。いや、違うか。時を旅していたのは、先輩との日々を思い出していた私の方だ。

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